2011-12-22

ナミビアにおける北朝鮮情勢の報道と援助のカタチ

ここ直近の北朝鮮情勢がナミビアではどう報道されているのか気になったので有力紙である『The Namibian』の記事を読んでみました。この新聞社は、政党の資金が入っていないという意味で政治的には「ニュートラル(中立)」とのことです。(同僚談)

<前提知識その1>
北朝鮮と国交がない国は、日本、アメリカ、フランス等と少数である。
北朝鮮と国交があるのは約160か国 (国連加盟国は約190か国という数字を参考。)

<前提知識その2>
北朝鮮は、中国同様「アフリカにおける独立運動」を支援するという名目で アフリカ諸国への影響力を強めるため物資等を提供している。独立後も資金難に陥ってはいるが継続している。

<前提知識その3>
独立運動では、植民地支配への対抗、または否定するための思想(イデロギー)が必要であった。 当時の運動家が目を付けたのが社会主義、または社会主義的な思想である。
アフリカ社会主義というのもある。
代表的なものとしては、アパルトヘイト体制下の南アフリカ共和国での黒人解放運動が挙げられる。


12月20日の記事から。

Namibia and North Korean relations to remain positive

というのが見出し。原文はリンクを参照ください。以下抜粋・引用です。訳は私の意訳です。

"NAMIBIA’s relations with North Korea will not be affected by the death of North Korean leader Kim Jong-Il" “They are our friends,”
「北朝鮮の最高権力者の死によってナミビアと北朝鮮の関係は左右されることはないよ、彼らは、我々の友達だよ。」と政府のある人は言っています。

というのも、

During the liberation struggle, it supported Namibia’s war of liberation through material and other support to its war effort. After Independence, North Korea has supported major, and controversial, capital projects – notably the Heroes’ Acre outside Windhoek, the new State House, and now the Memorial Museum – financially and with labour from North Korea.
北朝鮮は様々な物資提供を通してナミビア独立戦争をサポートした。 独立後は、北朝鮮は主要かつ重要な首都計画( Heroes’ Acre[英雄達の地]建設、国会議事堂、そして今は独立記念博物館)を金銭面や労働力で支えている。

からです。

Heroes’ Acreの写真をどうぞ。

 

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でも、ナミビアは

In 2009 Namibia was among the countries that called on North Korea to sign the international treaties on nuclear weapons
ナミビアは2009年に核兵器に関する国際条約に参加するよう北朝鮮に求めた国のひとつである。

ですし、

Even though Namibia received a lot of support from North Korea, the Ministry of Foreign Affairs condemned the use or testing of nuclear weapons as well as the production, stockpiling, development and transfer of such weapons.
例え、ナミビアは北朝鮮から多くの支援を受けているとしても、外務省は核兵器の使用・実験・製造・保有・移動に関して北朝鮮を非難している。

というスタンスを取ってようです。

乱暴にまとめれば、

ナミビアにとって北朝鮮は、独立戦争以来北朝鮮から様々な援助うけているから恩義をがあるし、政治的・経済的・商業的なつながりを強化したい友達だけれど、核問題については北朝鮮を非難する立場をとっていますよ、

ということですね。 北朝鮮のナミビアへの影響力を垣間見た気がします。

さてここから性懲りもなく私の意見を・・・。

北朝鮮はHeroes’ Acreのような記念公園をアフリカ複数の国で建設しています。 記事にもありますが、北朝鮮からの資金援助で「独立記念博物館」も建設中です。 北朝鮮は、援助する国にどーんと目立つモニュメントやら箱モノを提供することで独立後の影響力(存在感)を維持してきたようです。 一点豪華主義です。

中国はというと、独立後多くの企業と人を大量に送り込みビジネスとしてナミビアを経済面で支える(牛耳る?)方針のようです。
(中国側から見ればODAでしょうけれど、中国側への利潤が一方的すぎる気がします。これはもうビジネスといった方がいいかと。) さらに中国は、有望な人材(露骨に言えば近い将来、政府の中枢を担うと期待されている人)を中国に研修員として招待し、そこで中国企業の幹部層と引き合わせもしているらしいです。アフリカ各国の政府高官が中国贔屓になるのも頷ける話ですね。

翻って、日本。

日本は”紐付き”の援助を制限していたけれど転換期に来ているのではないのかなと考えています。紐付きをやめたところで受注している企業はどの国の資本なのかも考慮に入れるべきだと思うのです。 技術移転・技術協力の面から、その国の企業が受注することは好ましいことです。 でも、そうでなく日本以外の外国資本だったら・・・結局その国を通して別の国へ資金が流れてしまうことになるのではなかろうか。ハコだけが残ってもその国のためになりません。
援助を通じ、技術者の育成、さらに技術者を育成できる人材の育成が今後のあり方だと思っております。
そのためには、(以前のブログで少し触れましたが)
日本企業が受注(インフラ整備に限ったことではなく)し、その国の有望な技術者を研修生として受け入れ、(その国の企業とJVを組むという方法も有効)OJTなどによる人材育成もセットで行っていくという方法もあるのではないかな、と考えるのです。

他国がトップダウン方式で援助を行っています。
日本は組織力を生かし、ボトムアップでその国の発展を支えるのが「日本らしさ」であり、日本の存在感を示すことができるのではないでしょうか。

他国に対抗してトップダウンで進めるのもアリ、かもしれませんが他人が仲よく握手している間に割り込んで握手を求め、ライバルを肩で押しやってあわよくば部屋の中から追い出す、なんて芸当はあまりスマートじゃない気がします。そう思っちゃうのは私の気の弱さですかね。

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