2011-07-19

『失われた教科書を探せ』作戦

_IGP7460ナミビアでは教科書を無償配布していない。全て学校管理の「貸与品」である。首都等比較的裕福な学校・家庭だと生徒に買い与えているらしい。

赴任先の学校は年初に少なくとも100冊以上の8年生の教科書があったそうだ。ところが六か月を過ぎ、ざっくり推測して3人に一人の割合でしか教科書をもってないことに、気が付いた。おかげで教科書を使って授業ができない。宿題も出せない。宿題を忘れてきた生徒に理由を尋ねると「教科書を持ってないから」と返事が返ってきた。ホステル住まいなんだから誰かに借りれるだろうと突っ込んでみたが。

そこで、教科書管理(書庫管理)を担当している同僚に相談し、まずはG8の数学に絞って調査を行ってみた。やり方は

  1. 教科書貸与時に作成した書類(以下、様式)を用意する
  2. クラス毎に様式に書かれている管理番号と、現在生徒が持っている管理番号と突合。
    • 突合できれば、生徒に教科書を返す
    • 突合できなければ、教科書を没収する。
      • 突合できない理由は3つ
        • 紛失(この場合は教科書を没収できない)
        • 他の生徒の教科書を持っている
        • 様式そのものが完成していない(管理番号未記入)
  3. 学年単位で様式上の管理番号と没収した教科書の管理番号とを突合
    • 突合できれば、教科書が元の持ち主の元に戻る
    • 突合できなない理由
      • 紛失
      • 管理番号未記入
  4. 3の段階で紛失が明らかになった場合、請求書(弁償)を発行
  5. 様式内の管理番号未記入のために確認できなかった教科書については、管理番号を記入の上生徒に再配布。ただし、もともと教科書を持っていなかった生徒を優先して配布する。

という手順です。

結果、

  • 紛失教科書:27冊
  • 持ち主不明:16冊
  • 持ち主判明:64冊
  • 管理番号未記入教科書:8冊

年初には115冊の教科書があったが、現在紛失されたと思われる教科書は27冊という事実が判明しました。このうち、持ち主不明教科書と、管理番号未記入の教科書を書類上適切に処理した上で教科書を持っていない生徒に貸与した結果、教科書を持っている生徒は176名中92名となりました。二人に一人の割合です。まずまずの結果となりました。

紛失されたことが明らかになった教科書については請求書を発行して生徒に手渡しました。額にしてNAD124.50也。NAD100といったら結構大金です。日本の感覚だと多分五千円くらい。
(為替レート通りだと1000円くらいなのですが)

問題点としては

  • 教科書を管理するための様式そのものを理解していない一般教員
  • 様式を理解していても、何らかの理由で運用していない一般教員
  • 様式を利用した教科書管理を行っていないマネージメント層教員
  • 教科書がなくなったら「盗られた」と言い訳すれば済むと思っている生徒

といったところでしょうか。

これらを行った後、書庫を管理する同僚教師から声をかけられ「全教科・全学年で行いたい」と申し出があったので校長の了承を得た後にマニュアルを作成、同僚向けに説明会を開催したのが昨日。
その日のうちに生徒の教科書を一人一人チェックしたのですが、持ち時間はマネージメント層が決めて40分。確認作業を40分でやれるとみつもるナミビア人、素敵です。
生徒一人につき1分で全てを終了させるつもりだったようです。さらに同僚達、途中でめんどくさくなったらしくマニュアル通りにやらず、自分勝手にルールを作りチェックしたらしい。さすがです。

  • 管理番号が違っていた場合は、様式の管理番号を上書き。
    生徒がほかの生徒の教科書を持っている可能性があることは頭にないらしい。
    落ち度がない生徒が結果教科書代を払わなければならなくなることも頭にないらしい。
  • 一学期の終わりに確認したからと、今回の計画を実行しなかった教員
  • そもそも、様式を作っていないからと開き直る教員。

問題だらけ。40分できでる!と彼らが言った時点で口をはさむべきだったかな。お手並み拝見、と見守ったのも失敗w

この状態で請求書を発行したら親から猛反発が来るのは目に見えてます、目に見えてますがしばらく彼らの仕事の進め方を観察・分析してみます。

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